- 一卵性双生児と異なり二卵性双生児は、女性の年齢など発生には遺伝性の要因がみられる
- 新たな研究は、双子と単身の出産後の母子生存率などから、数学モデルを作成
- シミュレーションの結果、双子は出生率を高める生存戦略上の副産物と判明した
学校では必ず何組かは双子の兄弟がいるものですが、双子はどうして生まれてくるのでしょうか?
一口に双子といっても、それはまったく同じ姿をした一卵性双生児と、遺伝的には異なる二卵性双生児が存在します。
一卵性双生児については、受精卵が2つに分裂するために誕生しますが、これは発生率などの分析から、まったくの偶発的な事故の結果であるとわかっています。
一方、二卵性双生児は別々の受精卵から誕生します。これは女性が卵子を2つ同時に放出して、両方とも受精した結果です。
卵子の二重放出は高齢の女性ほど起こり易いことがわかっています。二卵性双生児の誕生は、明らかに遺伝子に組み込まれた何らかのプログラムが関係しているのです。
しかし、その背後にある進化戦略についてはほとんどわかっていません。
新たな研究は、数学モデルによる双子出産のシミュレーションから、この謎を明らかにしようとしています。
果たして二卵性双生児が生まれるのは、生物の生存政略上の深い理由があるからなのでしょうか? それとも遺伝子の偶然による現象なのでしょうか?
双子はなぜ生まれるのか?
これまでの研究で、双子を含めた多産は母子にとって健康リスクが非常に高いということが示されています。
人間は通常単一出産を行うようにできていて、双子を生むことは母親の出産後の生存率にも影響しています。
また、新生児も出生時の体重が少なくなるなど、未熟児の状態で生まれるリスクが高くなります。
現代で双子の出産が安全に行われ、健康に成長できるのは、医療環境が非常に良好であるためです。
そのため生物学上は、人類種にとって双子の誕生はあまり歓迎できるものではないのです。
しかし、双子が生まれるメリットに目を向けてみると、多産の集団は明らかに単一の出産を行う集団より多くの子孫を残すことが可能になります。
これは進化の戦略上では、たしかに有利に働く要因です。
けれど、そちらを主軸に考えた場合、ではなぜ双子の誕生は珍しいのか? という疑問が生まれます。戦略上有利に働くならば、双子はもっと積極的に生まれてもいいはずなのです。