双子の数学シミュレーション
次のシミュレーションで研究者たちは、先程と同様の条件で、常に双子が生まれた場合と、常に一人の子が生まれた場合の比較を行いました。
すると、常に単一出産した場合は、常に二重排卵している女性がもっとも子供を増やすという結果になりました。
つまり、もっとも理想的なのは、常に二重排卵して単一の子供が生まれる状態だったのです。
このことから、二卵性双生児が生まれてしまうのは、年齢上昇に伴って出生確率を上げるために二重排卵へ切り替えたことによる作用だったことが明らかになったのです。
本来なら、二卵性双生児ができてしまうのは、生物学的には好ましい状況ではなかったようです。
このように機械的な処理で言われると、実際妊娠した女性や、二卵性双生児の兄弟は微妙な気分になってしまうかもしれません。
しかし、これはあくまで、健康面での医療サポートができない自然な状態における生物の戦略を示したものです。
研究者たちも決して生命の誕生を軽んじたり、機械のように扱っているわけではありません。
生物の戦略上の意図はこのような結果となりましたが、子供はみな望まれて誕生する命です。親にとっては関係のない研究だったかもしれません。
この研究は、米国デポウ大学の生物学者Wade N. Hazel氏を筆頭とする研究チームより発表され、生態学と進化研究に関する査読付き学術雑誌『Nature Ecology & Evolution』に5月11日付で掲載されています。
https://www.nature.com/articles/s41559-020-1173-y