脊髄を操作して筋肉を動かす

次に研究者は、貼り付けられた脊髄が、筋肉の行動を制御するにあたって実行可能なメカニズムが残っているかを調べました。
脊髄と筋肉は細胞レベルでは生きてはいますが、統一性のある「命」は失われており、神経による筋肉の制御機構が残っている保証はありません。
そこで研究者は脊髄パーツに対して、神経が筋肉の収縮を促す命令に使う神経伝達物質(グルタミン酸)を注ぎました。
するとバイオボットはランダムな収縮運動から規則正しい収縮運動に転換し、骨格筋を自然な歩行リズムで動かしはじめました。
また逆に、神経伝達物質の伝達を阻害された場合、バイオボットは活動を停止しました。
このことから、摘出された脊椎(腰椎部分)にも、神経を介して筋肉を制御する自然な力が残っていたことが分かったのです。
研究者たちは続く実験で、バイオボットの動きをさらに洗練させ、完璧な歩行の再現を目指す予定です。