聖書から排除された安息日の「犠牲の歌」
DNAを用いた死海文書の解読により判明したもう一つの事実は、聖書から排除された「安息日の犠牲の歌」にかかわるものです。
初期のユダヤ教と初期のキリスト教では、天国には天の評議会が存在し、異教の神々もまた議会のメンバーである天使として解釈し解釈する、準多神教的な概念を持っていました。
安息日の犠牲の歌もそのような概念を引き継ぎ、天の領域での神の玉座とまわりにいる天使たちの崇高なイメージを歌い上げています。
これは既存の、神とイエスと精霊は一体のものであるとの考えと食い違うものになります。
しかし死海文書の断片を分析した結果、安息日の犠牲の歌は、多数の異なるDNAをもつ羊の皮から作られていることがわかりました。
この事実は、聖書から排除された天の評議会を歌い上げる準多神教的な価値観が、古代ユダヤでは広く流通した概念であったことを意味します。
現在は一神教である宗教も、歴史の流れの中で何度も多神教的な概念と融合していたのです。