マヤ文明の組織構造と建設能力
さて、アグアダフェニックスの広大な台地と土手道は、この記念碑が多くの人々によって使用されるために建設されたことを示しているようです。
そして、これが紀元前1000年に建設されたという事実は、考古学者たちに大きな衝撃を与えるものとなりました。
なぜなら、その時代には階層的社会組織が無かったからです。
猪俣氏によると、「後の時代には、民に仕事を命じる強力な支配者と行政システムがありました。しかし、この遺跡はもっと前のものであり、そのような強力なエリートがいたという証拠は見当たりません」とのこと。
そのため、アグアダフェニックスは、当時の人々の自発的な共同作業の結果だと考えられるのです。
この事実は、考古学者たちの建設プロセスを再考させるものとなるでしょう。
猪俣氏も「今回の発見は、人間の能力や人間集団の可能性について重要な示唆を与えてくれます。このような巨大なプロジェクトを遂行するためには、必ずしも組織化された政府が必要ではないかもしれません」と述べています。
今後、猪俣氏のチームはアグアダフェニックスでの作業を継続していきます。また、周辺のより広範なライダー分析も行なわれる予定であり、さらなる発見が期待されています。
この発見の詳細は6月3日、「Nature」に掲載されました。
Monumental architecture at Aguada Fénix and the rise of Maya civilization
https://www.nature.com/articles/s41586-020-2343-4