もっとも古い寄生虫と宿主の相互作用を探る
ところが今回の研究は、そんな困難な調査を化石記録から発見し、これまでで最古の寄生虫と宿主の関係を明らかにしました。
問題の化石が発見されたのは、中国雲南省。年代測定によると5億1500万年前のものと推定されました。
これは腕足動物と呼ばれる種類の生物化石です。
腕足動物はアサリなどの二枚貝によく似ていますが、実際はかなり異なる海洋無脊椎動物です。
肉茎の腕を持っていて、これを足のように使って動き回ります。
これは現代では珍しい生き物ですが、地質学的な調査によると、昔はかなり一般的な生物でした。
今回発見された化石には、この腕足動物の殻の表面にいくつもの管が引っ付いているのが確認されました。研究者たちはこれが、寄生虫だったと考えています。
なぜ寄生虫と断定できるかというと、この種の腕足動物の化石は複数見つかっており、この管がついていないものは、管がついていたものに比べてはるかに大きいことがわかったためです。
つまり、この管は腕足動物に寄生していて、明らかに宿主に悪影響を及ぼしていたのです。
この管のようなものはワームの一種だと考えられており、労働寄生タイプの寄生虫だということがわかっています。
労働寄生とは、宿主の体から直接栄養を奪うのではなく、宿主の捕食する餌を横取りするタイプをいいます。