脳に辿り着く前に錯覚は起きていた
MITの研究者たちは「明るさにかかわる錯覚に脳の介在が存在しない」との仮説を証明するために、別の実験を行いました。
私たちの知覚する世界は、2つの目からのイメージを統合することで生成されます。
しかし皮肉なことに、統合後のイメージはそれぞれの目の伝える真実と必ずしも一致せず、様々な錯覚を起こします。
研究者は特別に設計された立体メガネを使用して左右の目の視覚を分離することで、錯覚が2つの目からの情報が統合される前の「片目の段階」で起きていたことを発見しました。
つまり、明るさを認識する基本的な計算処理と付随する錯覚は、脳に至る前の網膜にある単純な神経回路でなされており、脳は「錯覚をうみだしていた」のではなく「既にうまれた錯覚をみていたに過ぎなかった」のです。