
- オスの蚊のみに伝わる「Nix遺伝子」を組み込むことで、メスがオスに変化することが判明
- 性転換したオスは、Nix遺伝子のコピーを子孫に代々遺伝させることが可能
- 性転換したオスは飛べなくなるが、その原因も特定
そろそろ梅雨も明け、蚊が本格的に活動し始める時期…
蚊は血を吸うだけでなく、マラリアやジカ熱、黄熱、デング熱を媒介する危険な生き物です。蚊による世界の死者は、年間で数万人も出ています。
その対策として、血を吸うメスの蚊をオスに性転換させる方法が模索されていました。2015年には、オスのみに伝わる「Nix遺伝子」が、蚊の性別をオスに決定付けることが分かっています。
そして今回、米・バージニア工科大学の研究により、Nix遺伝子をメスに組み込むことで性別がオスに変化することが明らかになりました。
この方法を使えば、メスの数をコントロールして、ウイルスの伝染を防止できるかもしれません。
メスをオスに変える「Nix遺伝子」とは?
今回、研究対象となったのは、世界各地に生息する「ネッタイシマカ(Aedes aegypti)」です。
ネッタイシマカは主に黄熱・デング熱・ジカ熱を媒介することで知られます(マラリアを媒介するのはハマダラカ)。
広く知られているように、血を吸うのはメスだけで、哺乳類の血を吸ってそれを卵の栄養分に変えます。メスは吸血時に少量の唾液を打ち込むのですが、それがウイルスを媒介する原因となっています。
一方のオスは、花の蜜や樹液を吸って暮らしており、血を必要としません。人にとって害のないオスを増やし、メスを減らすことで感染症のリスクを減らすことが期待されています。
ネッタイシマカのオス性は、「Mローカス」というオス特有の遺伝子座(male-determining locus)により確立され、そこには約30ほどの遺伝子が含まれています。その中の「Nix遺伝子」こそがオスの決定因子であり、人におけるY染色体のように、オスの子孫にしか遺伝しません。
以前の研究では、Nix遺伝子をメスの生殖器に注入することで、約3分の2がオスの生殖器を発達させることが分かっていましたが、オスとしての生殖能力があるかどうかは不明でした。
しかし、今回の研究により、Nix遺伝子をメス特有の染色体領域に組み込むことで、生殖可能なオスに変わることが判明したのです。


























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