極薄シートが作る未来
一般的には、スチレンを架橋重合すると3次元的なネットワークを作るため、紐状の分子構造が絡まったような状態になります。
しかし、この手法を用いると分子は3次元的に結合できないため、2次元上に均一に分散していきます。
この2次元の結びつきだと分子が絡まり合わないため、通常の高分子シートとは異なる性質が見られるようになり、柔軟性が大幅に向上することが明らかになりました。
それは、まるでスライムのような流動性を示したのです。
これは今回の研究から明らかにされた、極薄高分子シート特有の極めて重要な性質です。
今回の手法を用いれば、高分子シートを簡単にかつ大量に合成することができるといいます。
また、今回明らかになった極薄シート特有の柔軟性に富んだ性質もあり、今後の高分子・化成品産業で広範な応用が期待されているとのこと。
研究者の想定する応用先は、接着剤や医療用シート、またスマホや車のコーティングなどです。
これまでになかった分子1つ分という、飛んでもない薄さの夢の素材。これは一体どんな風に利用されていくのでしょうか。
みなさんなら、どんな製品を思い浮かべるでしょう。
この研究は、東京大学大学院新領域創成科学研究科の植村教授らの研究チームより発表され、論文はオープンアクセスのオンライン科学誌『Nature Communications』に7月17日付けで掲載されています。
https://www.nature.com/articles/s41467-020-17392-1
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