大人と子供で変化する睡眠時間
睡眠はほぼ毎日私たちが経験しているものですが、科学的には理解できないことがたくさんあります。そして、睡眠の持つ機能は非常に複雑です。
睡眠が何らかの主要な機能を果たすために進化したのだと仮定すると、睡眠時間は生物の生理学的な機能と関連していると考えられます。
そこで、研究チームが目を向けたのが、睡眠の主要なプロセスの1つであるレム睡眠です。
レム睡眠とは、一般的に夢を見ている時間を指し、何らかの意識状態に脳が入っていることを意味します。
この時間は寝ていても目が動いているため、外からでも容易に確認することができます。
レム睡眠の明確な役割はまだ明らかではありませんが、起きている間に経験したことを記憶の中に閉じ込め、統合するための機能だと考えられます。
大人は眠り始めてから約1時間半後にレム睡眠に入る傾向があり、これを規則的に繰り返します。レム睡眠が睡眠全体で占める割合はそれほど大きくはありません。
しかし、新生児の場合、レム睡眠は睡眠時間の約半分を占めます。これは10歳までに睡眠時間の約4分の1まで減少します。
50歳を過ぎるとレム睡眠が睡眠時間に占める割合は15%程度とかなり小さくなります。
これは赤ちゃんや子供にとって日々の経験の重みが、大人に比べかなり大きいことが関係していると考えられます。
地面を蹴って走ったという経験も、子供にとっては発達する脳を強化するものであり、そのためにはレム睡眠を必要とするのかもしれないのです。