遺伝子が原因で左利きが決まるのか?
今回発見された遺伝的変化は、微小管遺伝子や脳の形態に関係していることがわかりました。
微小管とは繊維状のタンパク質で細胞骨格の1つとされるものです。これはニューロンの発達や、神経変性などにも重要な役割を果たしています。
こうした変化は発達の初期に影響を与えている可能性があります。
しかし、残念ながら今回見つかった遺伝的変異が利き手の違いを決める、決定的な要因であるとは言えないようです。
発見された要因は、利き手の決定に12%程度しか関係していないという分析結果が出ています。
研究者の1人クイーンズランド大学の遺伝学者デビッド・エヴァンス氏は、「解析の結果、遺伝的な要因で利き手の違いを説明できるのはわずかなものでした。これは環境的な要因がより重要な役割を果たしている可能性が高いことを示唆しています」と語っています。
この割合は両利きの人も同様でした。両手を均等に使いこなす能力は遺伝的な要因よりも、手を怪我したり、スポーツや楽器演奏の練習など、後天的な要因が大きな役割を果たしています。
結局左利きになるのも、そうした後天的な環境が遺伝よりも大きく関連している可能性は高そうです。
今回の研究は人の利き手を説明する最終的な判断材料にはならないようです。しかし、利き手の謎に迫る研究において、この大規模な調査の結果は重要な手がかりの1つになるでしょう。
左利きの謎は、まだまだ生物学者たちを悩ませる問題として居座ることになりそうです。