今回の研究を発表したディアス研究室の液体窒素で冷却された超伝導体の上に磁石が浮かんでいる様子の写真。これまではこの写真のように超電導には超低温環境が必要だった。
今回の研究を発表したディアス研究室の液体窒素で冷却された超伝導体の上に磁石が浮かんでいる様子の写真。これまではこの写真のように超電導には超低温環境が必要だった。 / Credit:University of Rochester photo / J. Adam Fenster
chemistry

ついに初めて”室温での超電導”を達成! 世の中を一変させるまであと一歩 (3/3)

2020.10.15 Thursday

前ページ鍵を握るのは水素の化合物

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超電導材料の可能性

超電導は電気抵抗0、磁場を弾くマイスナー効果など非常に不思議な特性を持っています。

磁場を弾くマイスナー効果。
磁場を弾くマイスナー効果。 / Credit:Wkipedia

これを通常の環境で実現できれば、損失のない送電網や、電気の貯蓄、リニアモーターカーのような摩擦のない高速列車が実現可能になり、現在の世の中は一変することになるでしょう。

超電導を実現するためのネックになっていたのは、超低温でなければ機能しないという点でした。

しかし、今回の成果に「もはや温度は超電導の制限にはならなくなった」と語る研究者もいます。

代わりに課題となっているのは高圧でなければ、超電導材料が作れないという問題です。これは今回の実験のように、少量の材料しか作れないという問題とも繋がっています。

けれど、今回の研究は炭素を利用することで温度の問題を大幅に改善すると同時に、純粋な水素だけで金属状態を作るより低い圧力で材料を作り出すことに成功しています。

元素の組み合わせによる「組成調整」で15℃での超電導に成功したという今回の研究は、通常環境で超伝導を達成するための鍵になっていくでしょう。

【編集注 2020.10.16 10:30】
記事内容に一部誤りがあったため、修正して再送しております。

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