ついに実現された室温15℃での超電導
室温超電導を実現するために今回の研究で使用されたのは、高圧力をかけられる装置「ダイヤモンドアンビルセル」です。
これは2つのダイヤモンドが向い合せで設置されている装置で、ダイヤモンドで挟んだ底面に高い圧力がかかります。
実験ではここに水素と炭素、そして硫黄を組み合わせた試料をセットして「炭素質硫黄水素化物」を合成しました。
これが室温での超電導を実現させた物質なのです。
超電導は量子力学的な現象で、電子が最低エネルギー状態に近づいたときに発生します。この状態は絶対零度近くで起きるため、基本的には極低温の状態で見られる現象として知られています。
しかし、同様の現象は軽い元素の結晶では比較的高い温度で起きやすいと考えられているのです。この世のでもっとも軽い元素は水素なので、水素の結晶を使えば高温でも超電導が起こせるのです。
問題は、軽い水素を結晶化させることが難しいということです。水素を固体にするためにはとてつもない高圧をかける必要があります。
高圧をかける装置ダイヤモンドアンビルセルは水素を結晶化させるために使用されたのです。
なお、この装置で生成できる超電導材料の量は非常に小さなピコリットルサイズ(1リットルの1兆分の1)のものです。