寒すぎてトカゲが樹上から落下
研究の発端は、同チームの進化生物学者であるジェームズ・ストラウド氏が、フロリダの都市マイアミに住む知人から受け取った一枚の写真でした。
そこには、歩道に仰向けになって動かない体長60センチほどのイグアナが写っていました。
その前日の夜、マイアミは異例の寒波に襲われて、気温が4.4℃まで下がっていたそうです。
こちらがその写真。
The big freeze has hit Miami! When temperatures drop below a critical limit allowing lizards to function…sleeping lizards lose grip & drop out of trees. To an evolutionary biologist: natural selection in action?
Thanks for pic @BrettinFlorida! #scicomm #FloridaWinter #Florida pic.twitter.com/GlfR8acFJ6
— James T. Stroud (@jamesTstroud) January 22, 2020
ストラウド氏は「気温がある下限値を下回ると、樹上で眠るトカゲは力を失って動けなくなり、地上に落下してしまう」と説明します。
ただ、死んでいるわけではなく、陽が当たって体温が上昇すると、再び動けるようになります。
ここから、同氏と研究チームは、トカゲがどれほどの低温に耐えうるかを調べるため、急遽マイアミに行き、トカゲを採捕して実験を始めました。
予想外の結果、1〜4℃まで耐えられると判明!
実験では、採捕した6種のトカゲを大きなアイスボックスに入れ、仰向けにひっくり返した状態でどれくらいまで冷たくなるかを観察しました。
同チームは2016年にも外来種のトカゲで同じ実験をしており、その際は平均7.7〜11.1℃の低温耐性が確認されています。
しかし、今回の実験で、フロリダのトカゲたちは、最高1〜4℃の低温に耐えられることが判明しました。
種によって数値は前後していますが、観察したどの種でも5.5℃までは確実に耐えられています。
「これは予想外の結果で、トカゲは気候変動に応じて、極端な低温に耐えられるよう変化したのかもしれない」とストラウド氏は話します。
しかしこれは、たまたま耐寒性の強いトカゲが生き残ったという”自然淘汰”の結果かもしれませんし、低温にさらされることでトカゲの耐寒性が強くなった”順応”の証拠かもしれません。
ストラウド氏は「この問題を解明することで、深刻化する気候変動がトカゲたちに与える影響を理解できる」と考えています。