チンパンジーの感染していたハンセン病菌は人間にはほとんどみられない型だった
ハンセン病は、顔や手足の形状を崩す恐ろしい病気である一方、他の動物には感染しない「人間だけの病気」だとして古くから知られていました。
しかし2000年以降、リスやアルマジロでハンセン病が発生していることが確認されるようになり、2017年には西アフリカの野生で暮らすチンパンジーにも症状が現れ始めます。
症状が現れたチンパンジーたちの顔や手はただれていき、人間と同じような病状の進行が確認されました。
そのため多くの研究者たちは、人間の病気がチンパンジーの間で広がっていると考えました。
しかし今回、チンパンジーから得られたハンセン病菌のDNAを分析した結果、意外な事実が浮かび上がります。
チンパンジーから得られた2種類のハンセン病菌(2Fと4N / 0)は人間の間でほとんどみられない、珍しい遺伝子型を持っていたのです。
特に2Fと呼ばれる遺伝子型は、これまで西アフリカでは報告すらされていないものでした。
つまり、チンパンジーから確認されたハンセン病が人間に由来すると考えるには、かなりの無理があったのです。
人間が感染源でないとするなら、チンパンジーたちは何からハンセン病をうつされたのでしょうか?