長年の孤独が創造力やシミュレーション能力を向上させる
研究の結果、孤独な脳は孤独ではない脳に比べて、灰白質のボリュームが大きく、白質の構造がはっきりとしていると判明。
そしてこれらの要素と関連していると思われますが、想像やシミュレーションなどのタスクに特化した脳領域「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」の接続性が増加していました。
DMNとは人間が外部に関連するタスクに焦点を当てていない時に活発になる領域です。
例えば、「人と話す」「仕事をする」「走る」などの意識的な活動を行なっている時や外部の特定の何かに集中している時は、DMNが不活発な状態です。
しかしコーヒーを飲んで休憩している時や、一人でお風呂に入っている時などは、頭の中でとりとめのないことを考えるものです。DMNはこのときに活発になっています。
そしてDMNは脳内の情報処理や、蓄えられた情報の接続に関連しているとのこと。
つまり、DMN領域が活発であれば、脳内の情報が整理され、創造力が高まるのです。
孤独な脳ではDMNの接続性が向上していたことから、孤独が回想、想像力、創造的思考、シミュレーション能力を発達させていると考えられます。
しかし、2019年の研究では孤独な若年成人のDMNの接続性が低下したと報告されています。
今回の研究対象の平均年齢が50代半ばであったことから、長年にわたる絶え間ない孤独がDMNの接続性を向上させると考えられます。
さて、孤独は一般的にネガティブなものだと考えられています。しかし孤独であり続けた人は高い創造性を獲得するのです。
これは芸術家などの一部の人には朗報だと言えるでしょう。