マイクロプラスチックは胎児の発生に害をなす?
検出された12個のマイクロプラスチックは、5〜10マイクロメートルとかなり微小です。
※1マイクロメートルは、1ミリの1000分の1
そのうち4つは母体側の組織にあり、5つは発達中の胎児に近い場所に、残り3つは羊水周囲の膜に発見されました。
サイズや検出数を考えると、母体や胎児には無害なレベルに思われます。
しかし、研究チームは「採取された組織の量は胎盤のほんの数%にすぎず、全体としてはもっと多くのプラスチックが存在すると予想できる」と指摘しました。
胎盤は、胎児を安全に成長させるべく、数百万年かけてヒトを含む生物が進化させた重要な器官です。
母体と胎児をつなぐ場所であり、母親の血流から有害物質や病原体をろ過し、栄養素や抗体、酸素を通過させる機能を持ちます。
胎盤内のマイクロプラスチックが胎児の成長に何らかの害を与えるかどうかは、まだ明らかになっていません。
しかし、多くのプラスチックに含まれる「ビスフェノールA」という化合物は、すでに人体の機能を妨害することが知られており、それが胎盤に存在することは懸念すべき問題です。
同チームは「マイクロプラスチックの存在が胎盤の免疫応答を誘発するか、あるいは有害物質を放出し、胎児にダメージを与えるかどうかを知るには、さらなる研究が必要となる」と述べています。
また、どういった経路で母体にマイクロプラスチックが混入したかを特定するのも重要でしょう。
マイクロプラスチックは、私たちの生活圏のいたるところに存在します。
例えば、深刻化する海洋ゴミ問題で、魚介類が水中のマイクロプラスチックを摂取し、その魚を食べることで自然、人の体内にもプラスチックは溜まっていきます。
プラスチックに対する需要はますます高まっており、今後20年で廃棄量は倍増すると言われています。
自然分解に時間がかかるのも無視できない問題です(レジ袋は1〜20年、ペットボトルは400年!)。
人の体内にプラスチックが混入するリスクも大幅に高まっていくでしょう。
リスクを減らすためにも、まずはマイバックを持参するところから始めたいですね。