メスのラットはGABAの働きにより、腸内運動活性化の効果が打ち消されていた
調査の結果、神経伝達物質によって大腸運動が促進されるのは、オスのラットだけだと判明。
そしてその原因は、放出される神経伝達物質の成分の違いにありました。
オスでは前項で解説したようにドーパミンやセロトニンが放出されており、これらが大腸運動を促進します。
一方、メスではドーパミンが放出されず、セロトニンとGABAが放出されていました。
このセロトニンには大腸運動を活性化する効果があるのですが、GABAにはその効果を打ち消す作用があります。
結果としてプラスマイナスゼロとなり、メスの大腸運動は活性化されないのです。
ちなみに卵巣ホルモンによってGABAが働くため、卵巣を除外したメスのラットも、オスのラットと同様の反応になるとのこと。
この結果は、「男性には下痢が多く、女性には便秘が多い」という性差メカニズムの一端を明らかにするものとなりました。
将来的には、性別に合わせた治療薬を選択することで過敏性腸症候群に対処できるようになるでしょう。
さらには、未だ明らかになっていない原因やメカニズムの解明に繋がるかもしれませんね。