男性が下痢になりやすく、女性が便秘になりやすいのはなぜ?
志水教授らは以前から過敏性腸症候群の研究を行なっており、次のメカニズムが明らかになっていました。
最初、大腸に痛みの元となる刺激があると、その情報が脊髄を経由して脳に伝えられ、人は「痛み」を感じます。
そうすると脳は痛みを和らげるために、今度は脳から脊髄に痛みを抑える神経伝達物質を放出。
そしてこの神経伝達物質のうちセロトニンやドーパミン(ドパミンとも言う)が痛みを緩和すると同時に、大腸の動きを促進していたとのこと。
つまり、本来は痛みを緩和するための物質が、副次的に大腸の動きにも影響を与えていたのです。
しかし、これらの研究結果だけでは、「なぜ男性と女性の便意異常に性差があるのか?」という疑問に答えていません。
そのため志水教授らはオスとメスのラットの大腸内にカプサイシンによる痛み刺激を与えて、それぞれの神経伝達物質の作用を調査することにしました。