複数のオルガノイドを基盤の上に配置した様子。左下の呼吸する肺から出た酸素の多い体液は赤で示され、各臓器から戻って来る酸素の少ない体液は青で示されている
複数のオルガノイドを基盤の上に配置した様子。左下の呼吸する肺から出た酸素の多い体液は赤で示され、各臓器から戻って来る酸素の少ない体液は青で示されている / Credit:youtube.TissUse
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2020年の「マッドな生物実験」ベスト5 (3/6)

2020.12.30 Wednesday

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第3位 ヒトの脳を進化させた「知恵の実」遺伝子が、サルの脳を巨大化させると判明

知恵の実のエキスであるヒトのARHGAP11B遺伝子を取り込んだサルの脳は巨大化した(100日齢)。矢印部分はシワの元
知恵の実のエキスであるヒトのARHGAP11B遺伝子を取り込んだサルの脳は巨大化した(100日齢)。矢印部分はシワの元 / Credit:Science (文字はナゾロジー編集部記入)

ヒトとチンパンジーの遺伝子は99%同じ……というのはよく聞く話ですが、ヒトのはチンパンジーの3倍も大きく、構造にもかなりの違いがあります。

そこでドイツと日本の研究者たちは、ヒトとサルを別けた因子が互いに一致していない残りの部分(1%)にあると考え、この1%の中に含まれる遺伝子を人間の細胞から取り出し、サルの受精卵に組み込む実験を繰り返しました。

研究者たちの予測が正しければ、1%の中に含まれるものに、サルをヒトにした「知恵の実遺伝子」が入っているはずだからです。

実験を行った結果、ARHGAP11Bと呼ばれる遺伝子に、サル胎児の脳をヒト化する働きがあることが判明しました。

知恵の実遺伝子を組み込まれたサル胎児の脳は人間の脳のようにシワができはじめ、脳上部の細胞数も著しい増加をみせ、ヒト化しはじめていたのです。

しかしこの知恵の実遺伝子を組み込まれたサル胎児はこの世に生れることはありませんでした。

妊娠から100日が経過し、いよいよヒト化の度合いを増したサル胎児の様子に、研究者たちは恐れを抱き、堕胎してしまったのです。

ヒトの脳を進化させた「知恵の実」遺伝子が、サルの脳を巨大化させると判明

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