複数のオルガノイドを基盤の上に配置した様子。左下の呼吸する肺から出た酸素の多い体液は赤で示され、各臓器から戻って来る酸素の少ない体液は青で示されている
複数のオルガノイドを基盤の上に配置した様子。左下の呼吸する肺から出た酸素の多い体液は赤で示され、各臓器から戻って来る酸素の少ない体液は青で示されている / Credit:youtube.TissUse
biology

2020年の「マッドな生物実験」ベスト5

2020.12.30 Wednesday

2020年も終わりに近づいてきました。

そこでナゾロジーのマッドサイエンス担当の川勝康弘が、2020年に行われた最も猟奇的かつ凄惨な実験を紹介します。

コロナ禍の中にあってもマッドサイエンティストたちの精力的な活動は続けられており、2020年も非常に興味深い結果が得られました。

・脳を含む人間の臓器をカートリッジ化した「疑似人体」の錬成

・万能細胞の万能性を極限まで酷使してつくられた「人工受精卵」

などです。

どれも倫理観に限界まで挑戦し、時には乗り越え、貴重な知識を人類にもたらしてくれました。

それでは一緒に、2020年に行われたマッドな生物実験ランキングをみていきましょう!

ナゾロジー https://nazology.kusuguru.co.jp/

第5位 禁忌の人体実験が可能に?人工臓器を組み合わせた「疑似人体」を開発

臓器パーツをカートリッジ化したものを組み合わせて人体を再構成する
臓器パーツをカートリッジ化したものを組み合わせて人体を再構成する / Credit:youtube.TissUse

近年のバイオテクノロジーの急速な進歩は、を含む様々な臓器を試験管内部で培養することが可能となっています。

そこで、とある企業の研究者は、これら人工的な臓器(オルガノイド)をカートリッジ化して組み合わせることで、疑似的な人体を錬成することに成功しました。

疑似的な人体は脳や胃・筋肉・すい臓・皮膚・血管などあらゆる人間の臓器を備えています。

これら疑似的な人体は、禁じられた人体実験の対象として非常に有望であり、これからの創薬で主導的な役割を果たすと期待されます。

もしかしたら、未来の研究所では、カートリッジ化した臓器でつくられた疑似人体がチューブの中に多数、浮いているかもしれません。

5週齢の胎児に似た消しゴムサイズの脳オルガノイド。上の飛び出ている部分が発達中の大脳半球
5週齢の胎児に似た消しゴムサイズの脳オルガノイド。上の飛び出ている部分が発達中の大脳半球 / Credit:オハイオ州立大学

しかし脳のカートリッジ(オルガノイド)は慎重にあつかう必要があるでしょう。

人工臓器製造技術の飛躍的な進歩により、現在作られている脳オルガノイドは既に大脳・中脳・小脳を備え、妊娠中の胎児と似た脳波を放出するまでに至っています。

脳オルガノイドの成長は10カ月で自動的に停止してしまうという原因不明の奇妙な性質があるものの、限りなく本物に近い脳オルガノイドは、いつか意識を持つに至るかもしれないからです。

禁忌の人体実験が可能に?人工臓器を組み合わせた「疑似人体」を開発

次ページ第4位 万能細胞から擬似的なヒト胚を造ることに成功! 命の宿っていない”初期胎児”を再現できる

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