これからの物理学は超対称性理論ぬきで進めなければならない
今回の研究により、超対称性理論の牙城にヒビが入りました。
最先端を研究する物理学者たちは、超対称性の基本となる「素粒子に裏の顔がある」とする単純なモデルを、答えから除外するようになっています。
そしてそれは、物理学者たちが50年以上にわたり努力を傾けてきた、超対称性を土台とした数々の理論(数千本の科学論文)が葬られる瞬間でもあります。
現在、物理学者たちは超対称性が私たちの宇宙に現れない原因を、必死になって探しています。
理論の調整、新しい概念の移植、別の観点からの再構築など様々な試みが行われていますが、決定打とはなっていません。
超対称性が失われた物理学の向かう先は、まさに暗黒。
先を照らしてくれる理論がない現在は、物理学史上、最も混乱している時期とも言えるかもしれません。
しかし歴史は、えてしてそのような時期にこそ、新たな素晴らしい理論がうまれることを教えてくれます。
古典物理学が座礁した時には相対性理論が現れ、相対性理論が限界にきたときには量子論が現れ後を引き継ぎました。
もしかしたら今は無名の物理学者の頭の中に、超対称性理論の穴を埋めるような、大理論が作られている最中かもしれません。