超対称性とは何か?
超対称性理論とは「物をつくる粒」と「力をつたえる粒」に、それぞれソックリな「裏の顔」が存在するとする理論です。
理論の名前となった超対称の部分も、表の顔に対して鏡合わせのような裏の顔が存在し「対称性」があることに由来します。
対象となった裏の顔の粒子たちは「物をつくる粒子」が「力をつたえる粒子」の属性にチェンジし、「力をつたえる粒子」も同様に「物をつくる粒子」になり、真逆の性質を持つようになっています。
しかし私たちの身の回りには、超対称性の粒子はみられません。
超対称性理論はこの点も説明しています。
宇宙がうまれた直後、非常に高エネルギーの状態では、表の顔である「物を作る粒」と「力をつたえる粒」とそれと超対称になる裏の「物を作る粒」と「力をつたえる粒」の全てが存在していました。
ですが時間が過ぎ宇宙が冷えてくると「対称性の破れ」と言われる現象が起き、裏の超対称性粒子は全て消えてしまった(反物質と話が似ているが超対称性粒子は反物質ではない)のです。
以上が、超対称性理論の基本になります。
なので超対称性理論が正しいかを調べるには、原理的には、宇宙がうまれた直後の高エネルギー状態(光の速度で粒子がぶつかる世界)を再現し、実際に裏の超対称性粒子が生じるかを確かめるのが一番です。
問題は、超対称性理論が発表された当時、宇宙誕生直後の様子を再現する方法がなかったことです。
そこで人類はCERN(セルン)と呼ばれる組織を作り、大型衝突加速器(LHC)を建設しました。
大型衝突加速器は粒子を光の速度まで加速し、衝突させることで初期宇宙を再現します。
しかし、いくら装置内部で初期宇宙の様子を再現しても(光速付近で衝突を繰り返しても)、超対称性粒子(裏の顔)は現れませんでした。
出力を上げ、条件を工夫し、試行回数を重ねても、結果は「0」「ナシ」「ヌル」でした。
こうなると、結論は一つしかありません。
長年に渡り物理学の常識と考えられてきた超対称性理論が全て、あるいは少なくとも一部に、間違いがあったのです。