努力だけでは解決できない肥満問題
適度に運動をしているのに、なかなか肥満が解消されないという人は多いでしょう。
特に太りやすい人は、食べても食べても満腹感が得られず、1回の食事量が非常に多かったり、間食を繰り返してしまうという問題がよく見られます。
肥満の原因は、1つにこの過度な食欲であると考えられています。
異常に太ってしまう人は遺伝的な要因や、脳内の食欲調節機能に問題がある可能性があり、個人の意志だけでこれを解消することはかなり難しい場合があるのです。
そこで今回着目されたのが「セマグルチド(Semaglutide)」という薬です。
セマグルチドは食後に腸から血中に放出されるGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)というホルモンと、構造的に類似した化合物を持つ薬です。
このGLP-1は、食後の空腹感を減らして、満腹感を高め、人のカロリー摂取量を調整する役割を持っています。
そこで今回の研究は、セマグルチドを使って脳内の食欲調整システムを乗っ取ることで、過度な空腹感やカロリー摂取量を減らそうと考えたのです。