外部からの力を内部の強化に使用する
近年の研究によって、電気刺激に反応して形状を変更する有機素材が次々に開発されています。
これら電気に反応する有機素材は、ロボットの稼働部品として使うことが可能であり、人工筋肉の基本材料として期待されています。
しかし、既存の人工筋肉は生物の筋肉と違って、環境に適応して筋力を高める「自己強化」ができません。
そこでシカゴ大学の研究者たちは、酸化亜鉛(ZnO)のナノ粒子をセルロースに混ぜ込んだ複合有機ゲルを作成しました。
この特殊なゲルは、外部から力学的な力が加わると酸化亜鉛粒子が周囲の有機分子と反応し、ゲル内部の分子結合(架橋)を増加させることができます。
研究者たちは、このゲルに対して振動を与えることで、弾性を66倍に増加させることに成功しました。
この結果は、人工的な有機素材も自然の筋肉のように、機械的な刺激で自己強化が可能であることを示します。