ミイラ化は「4日サイクル」で行われていた!
まず、これまでに分かっている防腐処理(ミイラ化)の流れを説明しますと、
・第一に、遺体から脳を含む臓器を取り出す
・次に、胸部内と腹腔を殺菌処理し、体液を排出させて、体の腐敗を止める
・最後に、ナトロンを用いた混合液で遺体を乾燥させ、リネン(亜麻布)で包み、石棺に入れる
これが既知の大まかな流れですが、パピルスの解読により、実際はより細かなステップを踏んでいたことが分かりました。
それによると、防腐処理は全体で70日間かけて行われ、35日の乾燥期間と35日のラッピング期間に分けられます。
乾燥期間では、遺体の洗浄、臓器の摘出、および眼球の崩壊が終わった4日目にナトロン処理が開始されます。
また、防腐処理は原則として4日間隔で行われるという重大な新事実が発覚しました。
具体的には、4日間の遺体処理のあと、4日間のインターバルが設けられ、その間に故人の肉体的な回復が進んでいることを祝う儀式的な行列が催されます。
それが終わると再び4日間の遺体処理に入り、記録によれば、70日間で合計17回の行列が行われていたようです。
インターバルの間、遺体は害虫を寄せ付けないよう、芳香剤を入れた藁と布で覆われていました。
前半の乾燥期間が終わると、後半の35日間は、顔の防腐処理と芳香剤の塗布、最後にリネンで全身を包む作業に当てられます。
顔の防腐処理は、植物由来の芳香物質とバインダー(結合剤)からなる混合液を赤色のリネンに浸し、それを顔に貼り付けます。
これにより、顔全体が抗菌性物質に覆われて、腐敗がストップするとのことです。
この手順は初めて知られたものですが、以前、顔が赤いリネンで覆われたミイラが数体発見されたことがあり、マニュアルと合致します。
最終的にミイラは68日目に仕上げられ、棺に納められた後、残り2日間は死後の世界に送るための儀式をします。
以上が新たに判明したマニュアルであり、ミイラの作り方は予想以上に奥が深かったようです。