読み手は「プロの防腐処理者」を想定?
今回調査されたパピルスは、2つの断片からなり、1つはパリのルーヴル美術館に、もう1つはコペンハーゲン大学のカールスバーグ・コレクションに所蔵されていました。
そのため、「パピルス・ルーヴル-カールスバーグ(Papyrus Louvre-Carlsberg)」と呼ばれています。
長さ6メートルに達するこのパピルスは、紀元前1450年頃のもので、薬剤や皮膚病を取り扱った医学文書の一部です。
その中に、防腐処理に関する短いマニュアルが発見されたことに、専門家らは驚きを隠せません。
古代エジプト人にとって、防腐処理は非常に神聖な技術であり、限られた少数の人にのみ口頭で伝えられていました。
その証拠に、防腐処理に関するパピルスはほぼ存在せず、これまでに見つかった記録はわずかに2つ。
いずれも今回のパピルスより1000年以上後の時代に書かれたものです。
パピルス・ルーヴル-カールスバーグを翻訳したSchiødt氏は、以下のように述べています。
「新たに判明した防腐処理のマニュアルは、あとの2つのパピルスには見られない記述がほとんどで、非常に細かい工程の記録でした。
想定されている読み手は、明らかに素人ではなく、防腐処理について知識のあるプロと見られます。
テキストは、防腐処理に必要な薬液のレシピや、様々な種類の包帯の使い分けなど、覚えきれない箇所が記されており、遺体の乾燥法といった基本のプロセスは省かれていました。」
では次に、新たに判明したマニュアルについて見ていきましょう。