エイリアンの文明が起源とも言われた謎の彗星
オウムアムアは極方向から太陽系に侵入してきた、恒星間天体です。
恒星間天体とは、星間空間をわたって異なる星系間を移動する物体を指します。
こうした天体と人類が遭遇したのは、オウムアムアが初めてです。
名前はハワイ語で「最初の使者(あるいは斥候)」を意味しています。これは発見した天文台がハワイにあったためです。
人類がこの存在に気づいたときには、すでにオウムアムアは地球から時速31万km以上の速度で離れていくところでした。
そのため、このまれな天体を科学者がじっくりと観測して調べる時間はほとんどなかったのです。
現在オウムアムアは、遠く離れすぎてしまい既存の技術では観察することができません。
そのため、この天体は彗星によく似ていましたが、いくつかの点が非常に独特だったので、その起源についてさまざまな憶測が横行しました。
最近は、ハーバード大学の研究者アビ・ローブ氏がエイリアン文明が起源であるという説を発表しています。
しかし、科学の世界では、科学者は安易に結論に飛びつかないよう心がけることが重要とされています。それは科学者としての責任でもあります。
オウムアムアは発見されてまだ3年程度の天体で、この期間は科学が新しい発見を理解する時間としては特に長いものではありません。
自然に説明できる理論をすべて出し尽くしたため、万策尽きてエイリアン文明起源にすがるというには、さすがに早すぎます。
そこで、アリゾナ州立大学の2人の天体物理学者、スティーブン・デッシュとアラン・ジャクソンは、オウムアムアの起源を自然に説明できる理論を考えました。
彼らはまず、オウムアムアの観測から、彗星と異なる特徴を明確に決定する作業からはじめました。