フォークボールがバックスピンで落ちる理由が解明!

ほとんどの野球投手は上から振り下ろすようにボールを投げるため、ボールには上の動画のようにバックスピン(後ろ向き回転)がかかります。
しかしバックスピンで飛翔する球は通常ならば揚力が発生し、下に落ちる速度はむしろ遅くならなければなりません。
サバイバルゲームが好きな人ならば、ホップアップシステムというBB弾にバックスピンをかけることで射程距離を延ばす仕組みがあるのを御存知だと思います。

バックスピンがかかった飛翔する球体は上の図のように、球体の上部分ではボールの回転方向が空気の流れを加速させ、空気分子がボールに上から下に向けて当たる確率を低下させます。
ですがボールの下側ではそのような空気圧の低下は起こりません。
結果として、バックスピンするボールは空気圧の差によって上側に向けて吸引される作用が発生し、ボールの落下速度が低下します。

同じような仕組みは飛行機の翼にも用いられおり、これら空気圧差による物体の浮揚をマグヌス効果と言います。
しかしフォークボールは同じバックスピンであるにもかかわらず、上がるどころか落下速度が無回転のものにくらべて大きくなります。
つまり、フォークボールは物理現象に反した「魔球」と呼ぶべき存在だったのです。
ですが今回、自称野球発祥の地アメリカを抑えて、日本の研究者たちにより、魔球フォークボールの秘密が解き明かされました。
秘密はボールの縫い目にあった

バックスピンするフォークボールはなぜ早く落ちるのか?
謎を解明するために、研究者たちは東京工業大学のスーパーコンピュータ「TSUBAME3.0」を用いて、野球ボールのシミュレーションを実行しました。
すると野球ボールに存在する縫い目の起伏が空気の流れをかき乱し、バックスピンする球体にかかるハズであった上向きの力を打ち消し、さらに下向きの圧力「負のマグヌス効果」を増していることが判明しました。
特に上のグラフのように、ボールの縫い目の角度が-30度から90度に傾く地点において下向き圧力(マイナスの揚力)が強くなることがわかったのです。
投手の肩を痛めずに「魔球」を開発する

今回の研究により、フォークボールの謎が解明されました。
野球ボールの縫い目のわずかな起伏が空気の流れをかき乱し、上がるはずのバックスピン弾を逆に大きく引き下げていたのです。
これまで数々の分析が野球のボールに対して行われてきましたが、縫い目の細かな起伏までシミュレーションに含まれたのは、今回の研究がはじめてになります。
また今回の研究成果を福岡ソフトバンクホークスの千賀滉大投手のフォークボールに適応した結果も興味深いものになりました。
千賀滉大投手の投げるフォークボールは落差が非常に大きいことで知られています。
シミュレーションを行った結果、千賀滉大投手が投げるフォークボール(通称:お化けフォーク)は、バックスピンだけで説明できる範囲を超えていました。

そこで研究者たちは上の図のように、バックスピンとは異なるジャイロ回転(ドリル型の回転)を元にしたシミュレーションもおこない、落差を再現することに成功します。
この結果は、開発されたシミュレーションが様々なボールの挙動を正確に再現できることを示します。
今回の研究成果を他の投げ方の分析に使用することで、投手の肩を痛めずに無限の試行を繰り返すことが可能になり、新たな魔球の開発・発見につながると期待されます。
もしかしたら将来の野球は、コンピュータやAIが算出した数々の魔球で、よりスリリングなものになっているかもしれません。





















