スマホに潜む細菌たちは独自の細菌叢を築いていたと判明!
かつて人類が最も手にした道具は石器や動物の骨でした。
しかし技術の発達とともに手にする道具も変化し、現在の人類が最も手にするのはスマホをはじめとする携帯電話です。
一方、近年の遺伝子解析技術の進歩により、様々な環境に住む細菌たちの世界が調べられるようになってきました。
そこで今回、研究者たちは、携帯電話に潜むであろう細菌たちに着目しました。
携帯電話の表面には手の油や皮膚の断片(垢)といった豊富な「栄養素」が継続的に供給されているため、細菌たちの世界が出現している可能性があったのです。
研究者たちはさっそく、携帯電話の表面から汚れを収集し、どのような細菌が潜んでいるかを調べました。
結果、携帯電話の表面には、人間の皮膚に類似する、細菌叢が存在していると判明します。
しかも興味深いことに、その多様性は一様ではありませんでした。
携帯電話の持ち主の生活環境や仕事によって、かなりの変動があったのです。
例えば、持ち主が医療従事者である場合、携帯電話の表面には薬剤耐性菌が他の職の人に比べて多く存在していました。
病院では抗生物質を用いた頻繁な殺菌が行われているため、皮肉なことに薬剤耐性菌が最も生じやすい環境になっています。
そしてこれら薬剤耐性菌は医療従事者の指先を通して携帯電話の上に運ばれ、細菌世界を構成する一員になっていたのです。
さらに、持ち主の生活場所の違いも、細菌世界の大きな変動要因でした。
上の図ではカリフォルニア、ワシントンDC、バンクーバなど、持ち主の居場所の違いが、細菌たちの構成比率を大きく変えていることを視覚的に示しています。
これらの結果は、携帯電話上の細菌たちは持ち主ごとに独自の世界を築いていることを示します。