他の食品の100倍のセシウム濃度を検出
ことの発端は、研究主任のジム・カースト氏が2017年に大学の講義で実施した課題でした。
カースト氏は、放射性物質がいかに環境中に広まっているかを示すため、休暇中に地元で入手した食材を持ち帰るよう学生に指示し、それらをガンマ線検出器で測定しました。
予想通り、フルーツやナッツにごく微弱の放射性物質が検知されたのですが、予想外だったのは、東部・ノースカロライナ州のスーパーで売られているハチミツに、想定した数値以上の「セシウム137」が見つかったことでした。
カースト氏は「検出器の故障かと思い、何度か測定しましたが、ハチミツには他の食品の約100倍の数値が検出されたのです。
冷戦期には核実験が何百回も行われ、その結果として大量の放射性物質が大気中に放出されました。
その内の一つがセシウム137で、これはウランとプルトニウムの反応を伴う核分裂の副産物です」と述べています。

研究チームは、ハチミツに高濃度のセシウム137が検出された謎を調べるため、東部の市場や養蜂家からハチミツを集め、検査しました。
122のサンプルを調べた結果、実に68個からセシウム137が見つかったのです。
冷戦期の核実験は、太平洋上のマーシャル諸島やロシア北部の北極諸島、アメリカ西部のネバダ州やニューメキシコ州で行われました。
カースト氏は「核爆発は非常に強力であったため、数十種の放射性物質が上空に放たれ、雲の中で各地に運ばれ、降雨によって地上に落下した」と説明します。
その一方で、アメリカ東部のハチミツは、降雨とは別のルートでセシウム137を吸収したと考えられています。
果たして、そのルートとは?





























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