ハチミツに冷戦期の放射性物質が?
ハチミツに冷戦期の放射性物質が? / Credit: jp.depositphotos
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アメリカのハチミツに「冷戦時代の放射物質」を検出

2021.04.23 Friday

ウィリアム・アンド・メアリー大学(米)の最新研究で、アメリカ東部で採取されたハチミツに冷戦時代の放射性降下物が検出されたことが判明しました。

見つかったのは1950〜60年代の核実験で発生した「セシウム137」であり、放射能の恐ろしさが垣間見えます。

なお、人体に有害なレベルは下回っているとのことです。

研究は、3月29日付けで『Nature Communications』に掲載されました。

American Honey Still Contains Radioactive Fallout From Nuclear Tests Decades Ago https://techandsciencepost.com/news/science/american-honey-still-contains-radioactive-fallout-from-nuclear-tests-decades-ago/
Bomb 137Cs in modern honey reveals a regional soil control on pollutant cycling by plants https://www.nature.com/articles/s41467-021-22081-8

他の食品の100倍のセシウム濃度を検出

ことの発端は、研究主任のジム・カースト氏が2017年に大学の講義で実施した課題でした。

カースト氏は、放射性物質がいかに環境中に広まっているかを示すため、休暇中に地元で入手した食材を持ち帰るよう学生に指示し、それらをガンマ線検出器で測定しました。

予想通り、フルーツやナッツにごく微弱の放射性物質が検知されたのですが、予想外だったのは、東部・ノースカロライナ州のスーパーで売られているハチミツに、想定した数値以上の「セシウム137」が見つかったことでした。

カースト氏は「検出器の故障かと思い、何度か測定しましたが、ハチミツには他の食品の約100倍の数値が検出されたのです。

冷戦期には核実験が何百回も行われ、その結果として大量の放射性物質が大気中に放出されました。

その内の一つがセシウム137で、これはウランとプルトニウムの反応を伴う核分裂の副産物です」と述べています。

ハチミツ中に検出されたセシウム137の濃度と地域
ハチミツ中に検出されたセシウム137の濃度と地域 / Credit: J. M. Kaste et al, Nature Communications(2021)

研究チームは、ハチミツに高濃度のセシウム137が検出された謎を調べるため、東部の市場や養蜂家からハチミツを集め、検査しました。

122のサンプルを調べた結果、実に68個からセシウム137が見つかったのです。

冷戦期の核実験は、太平洋上のマーシャル諸島やロシア北部の北極諸島、アメリカ西部のネバダ州やニューメキシコ州で行われました。

カースト氏は「核爆発は非常に強力であったため、数十種の放射性物質が上空に放たれ、の中で各地に運ばれ、降雨によって地上に落下した」と説明します。

その一方で、アメリカ東部のハチミツは、降雨とは別のルートでセシウム137を吸収したと考えられています。

果たして、そのルートとは?

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