加熱により氷結する仕組み
なぜ水分子が反発し、加熱によって氷結したのか?
研究者たちが水分子の観測結果を元にモデルを作成した結果、原因はグラフェン板と水の相互作用にあったことが判明します。
低温のグラフェン板の上に水分子の膜が配置されると、上の図のように個々の水分子(モノマー)はグラフェン分子の中央部分にハマり込んでしまします。
この状態になると、水分子同士は引き合う力よりも反発する力が優勢になり、全ての水分子が、逆さのミッキーマウスのように、グラフェン板に対して水素原子を下にする方向で直立します。
こうなってしまった水分子たちを氷の結晶に凝縮させるためには、均一な方向から抜け出すと共に、分子を互いに少しずつ接近させる必要があります。
そしてそれを可能にするには、外部から熱を与えて水分子の運動エネルギーを増す必要があります。
つまりは、氷結すべき温度なのにもかかわらず、グラフェンの格子の中で落ち着いてしまった水分子に熱という喝を入れて、凍らせたというわけです。
これらの結果は、分子レベルの世界において、単純な「冷やせば凍るとの常識」は通用しないことを示します。