腰に異常がないのに長期間痛みを感じる「慢性腰痛症」
慢性腰痛症は腰の痛みが3カ月以上続く状態をいいます。
この症状では、腰に異常がなくても痛みが続く場合や、腰の異常は治っているのに痛みが引かないという場合があります。
つまり、検査では特定できる原因がないにもかかわらず、腰に強い痛みを長期間感じる病気なのです。
そのため、この症状は治療することが非常に困難になっています。
では、なぜ腰に異常がないのに腰痛を感じてしまうのでしょう?
近年の研究では、これが中枢神経における痛みのブレーキシステムが破綻しているために起きていると考えられていて、その原因はストレスによる抑うつなど心理社会因子だということが明らかになっています。
このため、この症状のもっとも多い年代は30~50歳代の働き盛りの人で、都会の事務職に多いようです。
このため、慢性腰痛症は内服薬や注射、リハビリ、手術などでは十分な改善が見られない難治性の症状なのです。
そこで、認知行動療法という心理的に楽にさせる治療法も取り入れられてきましたが、完全な解決には至らない人も一定数存在しています。
慢性腰痛症は、運動療法がある程度効果的ではありますが、単純にそれだけで解決することができない、困った病気なのです。
この問題を解決させるためには、誰もが楽しく気軽に、そして継続的に運動できる、心も体も楽にしてくれる手段が求められていたのです。
そこで、今回の研究チームが着目したのが、高いゲーム性と本格的なフィットネス要素を取り入れた、任天堂のゲーム『リングフィットアドベンチャー』だったのです。