オスが健康な子マウスを産んだ
オスに移植された子宮に生理周期を確認すると、研究者たちは結合マウスの発情期を待ちました。
そして時期が来ると、体外受精によってあらかじめ用意していた受精卵842個のうち、562個をメスの子宮に、そして残りの280個をオスの子宮に移しました。
結果、メスの子宮では162個(30%)が、オスの子宮では27個(9.6%)で正常な発生がみられました。
そして妊娠期間が満期(21.5日)に達すると帝王切開を行い、オス・メス双方の子宮から胎児を取り出して育てました。
すると、オスの子宮からうまれた子マウスのうち10匹が成体になり、また追加の実験では、次世代(孫)の繁殖にも成功しました。
また、これら10匹の子マウスを解剖してみたところ、心臓・肺・肝臓・腎臓・脳・精巣・卵巣・子宮に明らかな異常は存在しませんでした。
この結果は、オスに移植された子宮が正常に機能し、健康な子マウスを育成できることを示します。
哺乳類のオスで健康な子供の妊娠・出産に成功したのは、本研究が世界ではじめてです。
しかしオスの妊娠・出産という大きな科学的成果があった一方で、課題もありました。
成功した10匹の健康な子マウスの陰で、異常な奇形個体が産まれていたのです。