メスと体を縫い合わされ子宮移植を受けたオスマウスが出産成功!
![世界ではじめて哺乳類のオスによる妊娠出産が成功した](https://nazology.kusuguru.co.jp/wp-content/uploads/2021/06/d94a5f20bc7aa0bfba303ffc3e976cbc-900x506.jpg)
オスの妊娠は自然界でも非常にまれな現象ですが、全く無いわけではありません。
特に魚類においては交尾の直前で性別が変わる種が知られているほか、タツノオトシゴが属するヨウジウオ科のように、体内に「オスの子宮」を持つ種も知られています。
一方で、哺乳類においてはオスの妊娠・出産が自然界で行われている例は存在しません。
そのためこれまでの科学において、哺乳類のオスの妊娠能力については「ない」と判断されてきました。
しかし中国の海軍医科大学の研究者たちはこの事実に納得していませんでした。
研究者たちは、哺乳類のオスであっても、外部からの支援があれば妊娠状態を維持し、胎児を育成できると考えていたのです。
問題は、その支援方法でした。
近年のマウスを用いた研究によって、オスの体内に移植した受精卵が短期間ならば生存・成長することが示されていますが、胎児の段階を経て出産に至るには栄養供給の専門臓器である胎盤を伴った「子宮」が必要です。
しかし単に、オスに子宮を移植して受精卵を注ぐだけでは不十分でした。
妊娠を維持して出産までこぎつけるには、オスにはない、メスの体の様々な血中ホルモンの働き(外部支援)が必要になるからです。
そこで今回、研究者たちはオスに対する外部支援の方法として、妊娠中のメスの体そのものを用いることにしました。
![メスと皮膚を縫い合わされ子宮を移植されたオス。メスの発情にあわせてオスの子宮も生理周期を繰り返す](https://nazology.kusuguru.co.jp/wp-content/uploads/2021/06/8896cb754fdd19034f2e8f86ca84253f-900x506.jpg)
実際の皮膚を結合する過程はこちらをクリック ※グロテスクです
研究者たちはまず上の図のように、オスとメスの皮膚を縫い合わせた状態にしたものを46対作成し、メスの体から子宮の1つを取り出してオスの体に移植しました。
マウスの子宮は人間とは違って大きく2股に枝分かれしており、片方を失っても妊娠が可能です。
研究者たちはここで、移植された子宮がオスの体になじみ、安定するのを待ちました。
すると興味深いことに、結合状態にあるメスの性周期とオス体内の子宮の働きが同期しはじめます。
この結果は、オスに移植された子宮が、メスの血中ホルモンの働きを受けて生理周期を開始したことを示します。
その後は次の段階、妊娠実験に進むことにしました。
結果、常識外れの結果が判明します。