アメリカ太平洋岸のイソギンチャクはアリを食べていた
調査の対象になったのは、アメリカ太平洋岸に生息する「ホワイトプラムドアネモネ(学名:Metridium farcimen)」です。
ホワイトプラムドアネモネは羽毛のような触手を特徴とする大きなイソギンチャクであり、通常状態で50cm、伸ばすと1mになることもあるのだとか。
イソギンチャクは自分から移動しないため、浮遊してきたエサを食べます。
大型種の中には、魚やカニ、クラゲなどを食べるものもいますが、多くの場合、海流にそって流れてくるプランクトンを食べているようです。
しかし今回のDNA調査の結果、研究チームは、予想外のエサを発見することになりました。
ホワイトプラムドアネモネのエサのうち10%が陸上生物であるアリで占められていたのです。
そして胃腔内で見つかったアリのほとんどは、太平洋北西部で見られる「Pale-legged Field Ant(学名:Lasius pallitarsis)」でした。
このアリには、羽をもった女王とオスが交尾するために空を飛んで群れを形成するという特徴があります。
研究チームは、「彼らは飛ぶのが得意でないため、風によって海に落とされ、イソギンチャクに食べられてしまうことがある」と解説しました。
研究結果はまた、ホワイトプラムドアネモネが溺れてしまったクモやその他の昆虫も食べていることも明らかにしています。
さて、「イソギンチャクの胃腔内容物をDNA調査する」という初めての試みは、確かに生態系を解明する助けになりました。
チームによると、今回特定できなかったDNAもまだ数多くあるため、追加調査で生態系の解明がさらに進む可能性があります。