恐竜たちの時代の終焉
人類という種が誕生してから約700万年といわれていますが、恐竜たちは約1億7000万年もの長い期間繁栄を続けていました。
これを1つの巨大な小惑星が終わらせたというのは有名な話です。
しかし、長かった恐竜の時代は、本当にそんな突然に終わりを迎えたのでしょうか?
実は古生物学の研究では、恐竜たちは、小惑星の落下前からすでに絶滅に向かっていたのではないか? という議論があります。
1つの壊滅的なイベントによって、恐竜は突然絶滅したのではなく、その以前から段階的に彼らの絶滅は進んでいたのではないかというのです。
根拠の1つとなるのが、恐竜の絶滅時期は、超大陸パンゲアが、ローラシア大陸とゴンドワナ大陸という2つの超大陸に分裂した時期と一致していることです。
こうした地球環境の激変は、それまで繁栄してきた種の大量絶滅イベントに大きな役割を果たします。
2016年に発表された系統発生学の研究では、恐竜が突然絶滅したという考えには異議を唱えており、小惑星衝突以前から恐竜が衰退していたという可能性を示唆していました。
しかし、化石記録は曖昧な情報であり、確実な証拠としてこの事実を示すことはかなり困難です。
そのため2016年の研究についても、化石年代の不確実性や、抽出方法の問題点(サンプルバイアス)を指摘し反論した研究が報告されています。
そこで今回、フランス国立科学研究センター(CNRS)の系統発生学者ファビアン・コンダミン(Fabien Condamine)博士が率いる研究チームは、ベイズモデリング法という新しいデータ分析法を使い、不完全な化石記録、化石年代測定の不確実性、進化モデルに関する不確実性などいくつかの問題を排除した化石分析を行いました。
チームは、247種の1600の恐竜の化石を分析。
アンキロサウルス科、ケラトプス科、ハドロサウルス科、ドロマエオサウルス科、トロオドン科、ティラノサウルス科の主要な6つの恐竜科の種分化と絶滅率をモデル化して評価しました。
種分化率というのは、環境変化に適応した新しい種が発生している確率のことです。
チームの分析結果では、ユカタン半島に小惑星が落下する約1000万年前からすでに、鳥類以外の恐竜の多様性が低下し始めていたことが示されました。
種の多様性の低下は、恐竜たちが変化する新しい環境に適応できなくなっていたことを意味しており、彼らの絶滅率の増加と関連していきます。
つまり、新しい精密な分析では、恐竜たちは小惑星落下の1000万年前からすでに絶滅に向かっていたというのです。
では、なぜ恐竜たちは、小惑星に関係なく絶滅の危機になったのでしょうか。
この時代に一体何が起きたのでしょう?