関東地方は水の硬度が高い
日本は世界と比べて、水道普及率が98%と非常に高く、飲用としても安全な水が行き渡っています。
しかし、高度成長期に全国で敷設された水道管の多くが耐用年数を過ぎ、老朽化が進んでいます。また、地震や豪雨などの自然災害も多い日本では、水道管が悪化するリスクが高いのです。
さらに、各県の水道水はその濃度や水質が明確化されておらず、他地域との比較もできていません。
全国の水質を調査し、水質を数値として可視化することは、おいしい水を守るための貴重な情報となります。
そこで研究チームは、全国の水道水を分析し、水質特性を県ごとに明示する調査を開始しました。
2017〜2020年にかけて、47都道府県、計665か所の水道水をサンプリングし、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなどの濃度を測定。
それから、日本の水道水の性質を明確にするため、ヨーロッパ、アフリカを含む27か国、152か所の水道水も同じ手法で調べました。
その結果、日本の水道水は海外と比べてミネラル含有量が低く、硬度の平均は48.9mg/Lでした。
WHO(世界保健機関)の基準によると、60mg/L以下は軟水、60~120mg/Lは中硬水、120~180mg/Lは硬水、180mg/L以上は超硬水と定義されています。
硬水と軟水の詳しい違いこちらから。
そして、全国の水道水を硬度別に分布したら、以下のようになりました。
国内で最も水が硬いのは千葉と埼玉で、全体的に関東地方の方が硬度が高く、北海道や東北地方は低い傾向にあります。
水道水の硬度は安定しており、水道管が硬度に影響することもなく、各県の硬度は原水(おもに河川水)の水質に由来していました。
今回の知見は、水質や環境保全を含むさまざまな分野での活用が期待されています。