黒板を引っかく音は悲鳴に似ていた
ではどうして、黒板を引っかく音が人間の生存本能を刺激するのでしょうか?
科学者たちは、この音と悲鳴を結び付けています。
悲鳴は他の音と同様に複数の周波数で構成されています。
ある研究では、悲鳴の異なる周波数を分離し、不快度に応じてランク付けしてもらいました。
その結果、最も耳障りだったのは悲鳴の最高音ではなく、中間周波数の音だと判明。
そして黒板を引っかく音の周波数は、悲鳴の中間周波数と完全に一致しています。
これにより科学者は、黒板を引っかく音が人間の脳に悲鳴と同じ警鐘を鳴らすと推測。
人間は生死にかかわる状況に遭遇したときに悲鳴を上げ、周囲に危険を知らせます。
私たちのほとんどは、悲鳴が聞こえたときに体を硬直させ不安になり、周囲の安全を確認したくなります。
これらはすべて身を守るための防衛反応だと言えるでしょう。
そのためある研究では、私たちの耳が生存率を高めるために、「悲鳴のような耳障りな音を増幅させる」という説も唱えられています。
とはいえ本物の悲鳴とは異なり、黒板を引っかく音からは視覚的な脅威を確認できません。
そのため聴覚と視覚の情報に矛盾が生じ、私たちの脳はそのことに不快感を覚えるとも言われています。
もちろん、これらの理論が科学的に証明されたわけではありません。
とはいえ、多くの人は黒板を引っかく音が悲鳴と似ていることに同意できるはずです。
そしてその周波数が私たちの生存本能を刺激し、「その場から逃げ出したくなるような不快感を与えている」という理論にも納得するのではないでしょうか。