有毒生物は自分の毒を「スポンジタンパク質」で吸って耐えている可能性がある
有毒生物は自分の毒を「スポンジタンパク質」で吸って耐えている可能性がある / Credit: ja.wikipedia
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有毒生物は自分の毒を「スポンジタンパク質」で吸って耐えている可能性がある

2021.08.07 Saturday

自然界には毒をもつ生物がたくさんいますが、ひとつ気になる点があります。

なぜ有毒生物は、自らの毒には侵されないのでしょうか。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)、スタンフォード大学(Stanford University)を中心とした研究グループは、今回、有毒のカエルと鳥を対象に、どうやって自分の毒による中毒を回避しているかを調査。

その結果、彼らは、毒素への耐性を高めるのではなく、「スポンジ」のようなタンパク質で毒素を吸い上げている可能性が示唆されました。

それにより、自らは致命的な効果を起こさないようにしているようです。

研究は、8月5日付けで学術誌『Journal of General Physiology』に掲載されています。

Toxin Sponges May Protect Poisonous Birds and Frogs From Their Own Poisons https://scitechdaily.com/toxin-sponges-may-protect-poisonous-birds-and-frogs-from-their-own-poisons/
Evidence that toxin resistance in poison birds and frogs is not rooted in sodium channel mutations and may rely on “toxin sponge” proteins https://rupress.org/jgp/article/153/9/e202112872/212537/Evidence-that-toxin-resistance-in-poison-birds-and

なぜ自分の毒で中毒を起こさないのか?

素の多くは、神経、筋肉、心臓の興奮・電気刺激をつかさどる重要なタンパク質である「電位依存性ナトリウムチャネルに結びくことで、麻痺や心停止を起こします。

たとえば、「バトラコトキシン(batrachotoxin)」は、ニューギニアの有毒鳥ピトフーイや中南米のヤドクガエルに見られる、非常に強力なナトリウムチャネル毒素です。

モウドクフキヤガエル(Phyllobates terribilis)の皮膚腺には、1mgのバトラコトキシンが含まれており、それだけの量で10〜20人の成人男性を死に至らしめます。

ピトフーイ
ピトフーイ / Credit: ja.wikipedia

一方で、ピトフーイやヤドクガエルは、電位依存性ナトリウムチャネルを持っているにもかかわらず、エサとして食べた昆虫からバトラコトキシンを得て、体内に溜め込んでいるのです。

ふつうに考えれば、摂取したバトラコトキシンが、ナトリウムチャネルにくっついて麻痺や心停止を起こすはず。

なぜ彼らは自分で中毒を起こさずにすむのでしょうか。

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