なぜ自分の毒で中毒を起こさないのか?
毒素の多くは、神経、筋肉、心臓の興奮・電気刺激をつかさどる重要なタンパク質である「電位依存性ナトリウムチャネル」に結びくことで、麻痺や心停止を起こします。
たとえば、「バトラコトキシン(batrachotoxin)」は、ニューギニアの有毒鳥ピトフーイや中南米のヤドクガエルに見られる、非常に強力なナトリウムチャネル毒素です。
モウドクフキヤガエル(Phyllobates terribilis)の皮膚腺には、1mgのバトラコトキシンが含まれており、それだけの量で10〜20人の成人男性を死に至らしめます。
一方で、ピトフーイやヤドクガエルは、電位依存性ナトリウムチャネルを持っているにもかかわらず、エサとして食べた昆虫からバトラコトキシンを得て、体内に溜め込んでいるのです。
ふつうに考えれば、摂取したバトラコトキシンが、ナトリウムチャネルにくっついて麻痺や心停止を起こすはず。
なぜ彼らは自分で中毒を起こさずにすむのでしょうか。