支配者が変われば脳の働きも変わる
若いマウスの糞便がどのようにして老マウスの脳を若返らせていたのか?
謎を解明するため、研究者たちはまず現場である腸内で起きる変化を調べました。
すると、加齢によって変化してしまっていた35種類の代謝物の変化が、若いマウスの糞便により回復していることが判明しました。
特に目を引いたのは「GABA」や「ビタミンA」といった脳の活動を助ける物質の増加です。
これらの脳を助ける物質は血液脳関門を通過する可能性があり、若いマウスの糞便移植が直接的に老マウスの脳に影響を与える要因となっていると考えられます。
さらに腸内細菌の種類を調べたところ、若いマウスの糞便は、老マウスの腸内でエンテロコッカス属が大きく増加していると判明。
エンテロコッカス属は人間の腸内にも生息しており、エンテロコッカス・フェカリス菌(E. faecalis)が全体の95%を占めることが知られています。
フェカリス菌は代表的な乳酸菌として様々な胃腸薬や腸活サプリに含まれています。
そのため研究者たちは、スーパーや薬局で売っているような善玉菌(プロバイオティクス)を摂取することが、脳の老化を逆転させる手段になり得ると考えています。
どうやら脳を支配している腸内細菌が変われば、脳の働き方もかわるようです。
問題はこれらの変化が脳の何処に影響を与えているかです。