弱い磁場は磁極を反転させている?
では、磁場が弱まるとどういった問題が発生するのでしょうか?
地球の磁場の果たすもっとも大きな役割は、太陽の強力な放射から地上を保護することです。
磁場が弱まれば、地上は有害な太陽放射をもろに受け、生命に影響を及ぼします。
最近の研究では、デボン紀-石炭紀境界(約3億5900万年前)の大量絶滅は、紫外線レベルの急激な上昇が関連していることが示されていますが、これは今回測定されたMPDLのもっとも弱い磁場測定の時期と一致しています。
磁場の強度が大きく低下した場合、磁極が迷走し、完全に極が反転を起こす可能性があると研究者は語ります。
こうした磁場の変動は、地球深部の内部プロセスに関連していますが、将来的な変動を予想する手がかりは不足しています。
そのため磁場の変動の周期性を示す証拠が見つかるということは、非常に重要なことです。
今回の研究結果は、約2億年という長いサイクルで地球磁場がの強さが変化していることを裏付けています。
このような長いサイクルで起きる地球内部の変化を示す情報は、プレートテクトニクスの活動により絶えず破壊されてしまうため、非常に価値のあるものです。
弱い磁場が磁極の反転に関連しているという予想はありましたが、それを示す証拠は3億年以上前であるため、記録を発見することはこれまで難しいものでした。
今回の発見はそうした、磁場の強度低下が磁性反転と関連していたことを示す重要な証拠ともなっています。
研究者によると、溶岩流から見つかった包括的な磁気分析では、現在は地磁気が安定している期間(スーパークロン)にあり、今後約5000万年間磁極が反転するようなイベントはないだろうといいます。
気候変動など、地球は今変革のときを迎えているような雰囲気が漂っていて、大量絶滅が起きるのか? と不安な気持ちにさせられますが、少なくとも磁性反転はしばらく起きる心配をしなくていいかもしれません。