コロナウイルスよりも遥かに手ごわいエイズウイルスに立ち向かう
今回行われるフェーズ1には、56人の非エイズ感染者が参加しています。
フェーズ1で最も重要視されるのはワクチンや薬の安全性です。
ワクチンを注射したときに体に異常が起こるかどうかを確かめるのです。
次いで今回の試験で重視されているのは、ワクチンの接種によって、私たちの免疫システムにちゃんと訓練が行われているかどうかのチェックです。
これは血液の分析で行われる予定です。
そして全てがクリアされ、より最終フェーズに進めば、多数の被験者にワクチンを打ち、長期的な観察を経て症状が抑えられているかどうかを確認することになります。
今回のワクチンが完成すれば、多くの人々をエイズウイルスから保護できるようになるでしょう。
しかしそれは一時的なものに終わる可能性もあります。
全人類がエイズウイルスのワクチンを接種して免疫を獲得しても、エイズウイルスは生き残りのために変異を繰り返し、ワクチンが効きにくい新たな変異種が登場すると予測されます。
エイズウイルスの変異速度は、新型コロナウイルスよりも遥かに高いために、戦いはより熾烈なものとなるでしょう。
ですがmRNAワクチンは既存のワクチンよりも変異への対応にも優れています。
変異した構造を特定できればmRNAを対応したものに書き換えて、即座に対応できるからです。
ウイルスの変異速度とワクチンの開発速度の正面対決は、始まったばかりと言えるでしょう。