脳は内臓脂肪に直通回線を引いている
肥満において最も危険な脂肪は内臓脂肪です。
臓器を包む内臓脂肪は、適度な量ならば臓器の働きをサポートしますが、多すぎれば体の害になるほどの余分なタンパク質やホルモンを作りはじめるからです。
さらにこの余分なタンパク質やホルモンは、13種類のがんの発生率を引き上げ、心臓と血管にかかわる死因を増加させることが知られています。
肥満による健康悪化を防ぐには、内臓脂肪をいかに減らすかがカギとなっているのです。
そのためこれまで多くの研究者たちによって、内臓脂肪が調べられてきました。
結果、内臓脂肪には脂肪細胞だけでなく神経線維も含まれていると判明。
しかしなぜ内臓脂肪に神経が接続されているのか、そしてどこから伸びてきている神経なのかは、不明なままでした。
そこで今回、ポルトガルのシャンパリモー未知センターの研究者たちはマウスの性腺周辺の内臓脂肪に、光るように設計されたアデノ随伴ウイルスと仮性狂犬病ウイルスを感染させました。
ウイルスの感染が広がれば内臓脂肪に刺さっている神経を遡って、上流の神経に光が到達して接続元を突き止められると考えたのです。
結果、内臓脂肪に伸びていた神経(交感神経)は最終的に、脳の視床下部と最も緊密に接続していることが判明します。
これまで筋肉を制御する運動神経や腸の神経が脳とつながっていることが判明していましたが、内臓脂肪と脳がダイレクトにリンクしていることが判明したのは、世界ではじめてです。
そうなってくると気になるのが、脳はどんな用があって内臓脂肪に直通回線を引いているかです。