先史時代から「親知らず」の生える時期は遅かった
私たちヒトは12歳前後までに、子どもの歯である乳歯から、大人の歯である永久歯に生え変わります。
この永久歯の中で、上下左右の奥に3本ずつある歯を「大臼歯(だいきゅうし)」と呼びます。
その一番奥に位置するのが第三大臼歯、いわゆる「親知らず」です。
親知らずは、10代後半〜20代前半の遅い時期に生えるため、「親に知られずに生えてくる歯」という意味合いから、日本では「親知らず」と呼ばれるようになりました。
上下左右の奥に1本ずつで計4本ありますが、人によっては親知らずが生えてこなかったり、1本だけ生えてくるなど、個人差があります。
親知らずが生えてくる時の壮絶な痛みに涙した人も多いでしょう。
また、親知らずはあるけど生えてこない(埋伏・まいふく)ことや、歯茎の中で形成されない(先天性欠損)こともよくあります。
こうした親知らずの特徴は、今に始まったことではありません。
埋伏や欠損は、太古の原始人や弥生時代の頭蓋骨でも普通に見られます。
親知らずにまつわる特徴は古くから存在し、人類の進化の中で形成されたものなのです。
それでは、なぜ親知らずだけが遅い時期に生えるのでしょうか。