新たなメカニズムは新たな薬の開発につながる
今回の研究において、筋細胞の核には損傷部分に移動して再生を促進させる性質があることが示されました。
タンパク質の設計図が収められた核が損傷部分に直接出向くことで、タンパク質の現地生産を可能にし、再生の円滑化が行われていたのだと考えられます。
また核の移動には微小管というレールとダイニンという分子モーターが方向付けと力学的な力を提供していることが示されます。
さらに追加の研究で、微小管とダイニンによる核輸送システムが、カルシウム・Cdc42・ホスホキナーゼCが関与するシグナル伝達経路によって構築されると判明します。
核の移動にもとづく修復は幹細胞による再生とは本質的に異なる、全く新しい仕組みと言えるでしょう。
研究者たちは今後、核の移動にかかわるプロセスの分子経路を標的とする、新たな薬が開発できると考えています。
新たな筋線維修復のメカニズムが解明されることで、アスリートたちのトレーニング方法にも革命が起こるかもしれません。