親になることは「幸せ」か?満足度と人生の意味に及ぼす影響を分析
人はなぜ子どもを持つのでしょうか?
少子化が進行し、育児の負担ばかりが取り上げられる現代において、「子どもを持つメリットとは何か?」という問いは、かつてなく現実的な問題となっています。
従来の社会学や経済学の研究では、親になることで「人生の満足度」、つまり日々の幸福感やストレスの少なさがどう変化するかに注目が集まってきました。
過去の多くの研究では、親と非親の間に大きな幸福の差がないか、もしくは親のほうがストレスフルであるという結果が出ていたのです。
一方で、心理学の世界では、子どもを持つことで「人生の意味」が深まるのではないかという仮説が提唱されてきました。
しかし、これまでの研究は小規模・単一国のものであり、代表性に乏しいものでした。

このような背景のもと、今回の研究では「親であること」が人生の満足度と人生の意味の両方にどのように影響するかを、ヨーロッパ30カ国・43,721人のデータを用いて調査されました。
データは「欧州社会調査(ESS)」の2006年と2012年から取得され、18歳から49歳までの成人が対象です。
そして「あなたは現在の人生にどの程度満足していますか?」(0〜10点)と、「私は自分の人生における行動に価値があり、有意義だと感じている」(1〜5点)という2つの項目に対する回答を分析しました。
研究チームは、対象者の性別、年齢、教育、パートナーの有無、宗教心、両親の学歴・職業など多様な要因も考慮。
さらに、地域の福祉制度や文化的背景を考慮し、国を6つの文化クラスターに分類して結果を比較しています。
では、結果はどうなったでしょうか。