地球近傍天体(NEO)が地球に衝突する確率はどれくらい?
小惑星衝突は、地震や台風のような自然災害と異なり、理論的には完全に回避できる数少ない災害の一つです。
NASAの「DARTミッション」が小惑星の軌道変更に成功したことからも、技術的可能性は証明済みです。

地球近傍天体(NEO)とは、太陽を公転する小惑星や彗星のうち、地球軌道に比較的近づく軌道を持つ天体の総称です。
中でも直径140メートル以上のNEOは、衝突時に地域規模から地球規模の被害をもたらす恐れがあるため、NASAなどの国際機関が特に監視対象としています。
科学者たちは以前から衝突確率を計算してきたにもかかわらず、その数値は一般の人にとって直感的に理解しにくいものでした。
そこで今回の研究チームは、確率を「平均寿命71年の間にどれくらいの可能性があるのか」という形に換算し、さらに落雷や感染症といった身近なリスクと並べて比較することで、理解を助けようとしました。

研究では、最新の「NEOの軌道や分布を推定するシミュレーションモデル」を用い、500万個の仮想NEOの軌道を生成。
対象は直径140メートル以上の天体で、地球衝突時には地域的または地球規模の被害が想定されるサイズです。
この500万個のNEOを精密な軌道計算システムで150年間追跡し、地球半径内を通過した場合を「衝突」と判定。
得られた衝突確率と個人の人生で生じる不幸な出来事の確率を比較しました。