宇宙でも揚げ物はできる?
宇宙でも揚げ物はできる? / Credit:Canva
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「宇宙で揚げ物は作れるのか?」揚げ物好きの科学者たちが本気で研究

2023.06.10 Saturday

鶏の唐揚げや天ぷら、トンカツ、フライドポテトなどの揚げ物は、多くの人が愛してやまない料理の1つです。

それは宇宙飛行士にとっても同じです。

今回の研究は「なんとかして宇宙で揚げ物を食べられないものか」と奮闘する研究者たちによって行われました。

ギリシャのアリストテレス大学(Aristotle University of Thessaloniki)に所属するソドリス・カラパンシオスは、欧州宇宙機関(ESA)と共に、微小重力でも揚げ物を作ることができるのか実験しました。

研究の詳細は、2022年12月24日付の学術誌『Food Research International』に掲載されました。

Flying frying in microgravity https://www.esa.int/Science_Exploration/Human_and_Robotic_Exploration/Research/Flying_frying_in_microgravity
Is frying possible in space? https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0963996922013072?via%3Dihub

揚げ物が「揚がる」ための条件

クリスピーな表面とジューシーな中身が魅力的
クリスピーな表面とジューシーな中身が魅力的 / Credit:Canva

揚げ物の魅力は、カラッと揚がった表面とジューシーな中身にあります。

唐揚げや天ぷら、トンカツなどは水で溶いた小麦粉、片栗粉やパン粉などをまとわせて揚げる料理ですが、サクサクとした衣と中から溢れる肉汁が魅力的です。

またフライドポテトなどは、素材そのものを揚げる「素揚げ」に該当しますが、カリっとした外側とホクホクした中身を楽しめます。

では油で揚げると、どうしてこのような「揚げ物」と呼ばれる料理ができあがるのでしょうか?

食材が「揚げ物」になるためのポイントは、「水分を抜く」ことにあります。

熱した油に食材を放り込んで加熱し続けると、食材の表面の水分が抜けていき、そこに油が入り込みます。

つまり食材を揚げている間、食材に含まれた水分と油が入れ替わっていくのです。

この時、食材(もしくは衣)から抜け出た水分は熱により気化しており、「水蒸気」となっています。

揚げ物をしているときに、音を立てて出てくる泡こそが、食材や衣から抜け出た水蒸気なのです。

しばらく揚げ続けると、泡の量が収まってくるのは、それだけ抜け出る水分量が少なくなっている証拠です。

泡が出るのは水分(水蒸気)が食材や衣から抜けている証拠
泡が出るのは水分(水蒸気)が食材や衣から抜けている証拠 / Credit:Canva

油で揚げると食材の表面や衣の水分がなくなるからこそ、サクッとした触感が得られるのです。

そして表面の水分がなくなり、内部の水分が残っている状態こそが「揚げ物としての完成」であり、外と中の食感や味わいの違いを楽しめます。

逆に言うと、火が通っても長時間食材を揚げ過ぎると、内部の水分まで飛んでパサパサになってしまうので美味しくなくなります。

ここまで考えると、揚げ物を成功させる秘訣は、食材の表面から水蒸気を引き離すことだと分かりますね。

油の中に多量の食材を重ねて入れると上手に揚がらない理由の1つは、水蒸気が邪魔をしているからなのです。

では、宇宙のような微小重力環境でも、揚げ物を上手に揚げることができるのでしょうか?

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