揚げ物が「揚がる」ための条件
揚げ物の魅力は、カラッと揚がった表面とジューシーな中身にあります。
唐揚げや天ぷら、トンカツなどは水で溶いた小麦粉、片栗粉やパン粉などをまとわせて揚げる料理ですが、サクサクとした衣と中から溢れる肉汁が魅力的です。
またフライドポテトなどは、素材そのものを揚げる「素揚げ」に該当しますが、カリっとした外側とホクホクした中身を楽しめます。
では油で揚げると、どうしてこのような「揚げ物」と呼ばれる料理ができあがるのでしょうか?
食材が「揚げ物」になるためのポイントは、「水分を抜く」ことにあります。
熱した油に食材を放り込んで加熱し続けると、食材の表面の水分が抜けていき、そこに油が入り込みます。
つまり食材を揚げている間、食材に含まれた水分と油が入れ替わっていくのです。
この時、食材(もしくは衣)から抜け出た水分は熱により気化しており、「水蒸気」となっています。
揚げ物をしているときに、音を立てて出てくる泡こそが、食材や衣から抜け出た水蒸気なのです。
しばらく揚げ続けると、泡の量が収まってくるのは、それだけ抜け出る水分量が少なくなっている証拠です。
油で揚げると食材の表面や衣の水分がなくなるからこそ、サクッとした触感が得られるのです。
そして表面の水分がなくなり、内部の水分が残っている状態こそが「揚げ物としての完成」であり、外と中の食感や味わいの違いを楽しめます。
逆に言うと、火が通っても長時間食材を揚げ過ぎると、内部の水分まで飛んでパサパサになってしまうので美味しくなくなります。
ここまで考えると、揚げ物を成功させる秘訣は、食材の表面から水蒸気を引き離すことだと分かりますね。
油の中に多量の食材を重ねて入れると上手に揚がらない理由の1つは、水蒸気が邪魔をしているからなのです。