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ChatGPTを使って勝訴した女性 / Credit:Canva
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ChatGPTを使って勝訴した女性

2025.10.23 11:30:28 Thursday

ChatGPTは、どんな複雑な質問にも瞬時に答えを返してくれる便利なAIツールです。

もちろん、その答えが必ずしも正しいとは限りませんが、そのスピードと手軽さは多くの人にとって大きな魅力となっています。

そんな中、アメリカで「ChatGPTを活用して裁判で勝訴した女性」が現れ、大きな話題を呼びました。

「弁護士を雇わず、AIを“法廷のパートナー”として使った」というこの事例は、AI時代の社会の可能性と危険性を同時に浮き彫りにしています。

Woman Actually Wins Legal Case Using ChatGPT https://www.zmescience.com/future/woman-actually-wins-legal-case-with-chatgpt/

ChatGPTを使って自分を弁護した女性が逆転勝訴

カリフォルニア州のリン・ホワイトさん(Lynn White)は、家賃の滞納を理由に立ち退き訴訟を起こされ、最初の裁判では敗訴しました。

通常ならここで弁護士に依頼するのが一般的ですが、ホワイトさんは自分ひとりで判決に不服を申し立てること(控訴)を決意しました。

ここで彼女が頼ったのがChatGPTやPerplexityといったAIツールでした。

彼女は以前、小規模な音楽制作会社でAIを使った動画生成を行っていたため、法的な分野でもこれらが役立つと考えたのです。

ホワイトさんはChatGPTに対し、「ハーバード大学法学部の教授になりきって、自分の主張の穴を徹底的に指摘してほしい」とお願いし、論点の弱点や矛盾点を何度も洗い出しました。

納得がいくまで議論を繰り返し、AIが「A+」をつけてくれるまで主張の精度を高めていったといいます。

AIは、あたかも仮想の弁護士のように振る舞いますが、実際には人間の弁護士のような資格や法的責任は持っていません。

ただ、膨大な情報をもとに論理の穴を指摘する「練習相手」としては大いに役立ったようですようです。

この粘り強い取り組みの結果、控訴審ではホワイトさんが逆転勝訴。

立ち退きを回避し、約5万5千ドルの罰金と1万8千ドルを超える未納家賃の支払い義務も免れることができました。

ホワイトさんは、この体験について次のように語っています。

「AIが私のケースでどれだけ役立ったか、言葉では言い尽くせません。ChatGPTがいなければ、私はこの控訴に勝つことは絶対にできなかったでしょう」

彼女の法廷での弁論は、相手側の弁護士からも「もし法律の分野で働くつもりなら、あなたはきっと成功できるだろう」とメールで称賛されるほど説得力のあるものでした。

この例を知ると、「自分も弁護士ではなくAIに頼ろう」と考えるかもしれません。

しかしそれは非常に危険な考え方です。

なぜなら、裁判でAIを用いたケースの多くで、致命的な問題が生じているからです。

次ページ法の世界でAIに頼ることの危険性

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